「千葉日報」より

 

ーえ、ここに寝るのですか。「そう」と曽根さん。芝山の遺跡、殿塚の高く盛り上がった丘の背に沿って、石を敷き詰めたダイナミックな作品は、見るというより体験して感じるための装置という。全部で重さ3トンほどになるこの石は一個だけでもかなりの重量。これを少しづつ大きなカゴに入れて背負い、なん往復、何日もかけて完成させた。ぎりぎりまで作業は続いたが、当日の笑顔は底抜けに明るかった。

*作家から

ー制作しながら、この古墳を作った古代人と同じことを追体験した、ということにもなりますね(同展出品者、武内カズノリさん)。

 これは修行だな、と思いました。はじめにカゴを背負ったときは、もうダメと思った。

ーアイデアはこの場所に来てから思いついたのですか。

 そうですね。芝山に来て感じたのは、古墳と飛行機という対比です。大地には過去(古墳)があり、空には未来(飛行機)がある。そして中心には現在である「自分」がいる。過去、現在、未来への流れの中にいる今の自分を改めて考える装置です。生命は常に変化し無くなることなく流れている。塚にも空にも自分にも。風景を体で感じると、いろいろなものが見えてくるでしょう。大地のエネルギーを最も吸収できる仰向けの体勢に寝そべってみてください。そして、翼のように手を広げる。地球の磁界の流れを体に感じ、そして宇宙と交信します。